時事備忘録

最近物忘れが酷いので・・・

徴兵制と近代国家

近代の徴兵制はフランス革命による近代国家成立から始まった

戦争は王族・貴族の特権ではなく主権者国民のものであり、国防は国民義務となった

つまり国民国家がなければ徴兵制もない。近代の徴兵制は民主主義や民族主義などと同じく近代国民国家成立とともに生まれ発展した

近代国家とは王族・貴族の所有するこれまでの国とは異なり、そこに住むすべてが階級に関係なく国民であり(それまでの国では領民は国の所属員ではない)当然のこととして国防は国民の義務となった

なので徴兵制は国民皆徴兵が原則でありすべての国民は身分に関係なく平等に国防義務を追う


一方で近代国家の大国の中で徴兵制がない。もしくは不十分であった国が3つほどあった

それが米国、英国、日本である。米国は個人主義により、英国は身分階級により、日本は不十分な近代化により国民皆徴兵を実施できなかったのだが、共通の条件で三カ国が「海軍国」であるという事情が大きかった
つまり艦隊が健在である限り即座に国土が蹂躙される危険性がなく、結果としてある種の平和ボケ。つまり戦争が身近でない国であったために国民に徴兵の必要性が実感されなかった
ただ日本の場合。職業軍人である士族(侍)を排除し近代国家としての意識を民衆に植え付けるために国民軍(農民軍)が必要であった。明治新政府は国防を侍から取り上げ、新たに生み出られた日本国民に近代国家を認識させる必要があったのだ
しかしそれでも日本では完全な国民皆徴兵や動員令など完全な意味での徴兵制は最後まで実施されることはなかった
つまり独仏国境のように1歩踏み出せば戦争になるというほどの緊張感は日本には(英米も)ない・・・独仏が徴兵先進国となりほぼ完全な国民皆徴兵を実施できた背景には、1秒でも早く国境に最大兵力を並べなければ侵略を受けるという危機感があった


第一次世界大戦前夜に独仏は14日間で300万人を動員する体制を整えていた
これとは対象的に英米は基本的に志願制を敷いていた。これは身分(門地・金銭)階級の大きな国において兵士は貧困層の子弟が食うに困ってなる職業であった・・・志願制においては金があれば兵隊になる必要がないのだ・・・徴兵制は身分に関係なく原則全国民が徴兵対象となる


社会が豊かになりまたベトナム戦争の影響で「米国」において兵役志願者が減少した。そこで兵役を大学の学費無償の条件とすることで貧困層を獲得しようとした訳だが、これを米国の左派リベラルやインテリ階層が【経済的徴兵】と名付けた揶揄した・・・

誰が国と国民を守るのか?

かれらは答えることはないだろう・・・

 

余談・・・ヨーロッパで徴兵制が廃止になる時。最後まで抵抗したのはどこの国でも「左派政党」であった。徴兵制の廃止は身分格差を増大させ貧困層に大きな負担を強いると