文字の話
SNSで小学生の答案に「バツ」がつけられていて「解答は合っているのに文字の書き方で「バツ」がつけられているのはおかしい」という話が話題になっていた
その事自体は色々と意見があるだろうが、それは置いておいて「正しい文字とはなにか?」という話をしたい
「学参モノ」というのがある
これは例えば「国語書き取り帳」とか「算数ドリル」とかの出版物の事を指すのだが
特に小学生向けのものには色々と細かいルールがある
たとえば「描かれてる挿絵のイラストに出てくる子どもの手の指は、子どもがどの向きでも必ず5本ないといけない」とかで
その中でもよく言われるものに「き」「さ」「り」というのがある
「き」「さ」「り」とは、これらのひらがなは文字を書くときに一筆で繋がっていてはならないというものだ
基本的にどのメーカーの文字でも明朝であれば「き」「さ」「り」は一筆で繋がっている
昔はフォントの種類もなく、「学参モノ」では一度明朝体で「き」「さ」「り」と打って上から白をかぶせて切るみたいなことをやっていた
特に国語の書き取り帳などは厳格で、昔の話だが書道の先生に依頼して正しい書き順で常用漢字すべてを書いてもらい、それをデータに起こして書き順ごとにバラバラのパーツにするなんて仕事をしていた
今は各社で「教科書体」というものを販売していて「教科書体」の文字を見てもらうと分かるのだが「き」「さ」「り」はちゃんと切れている
そんなことを思い出したのだが、デジタル化に際しては逆の問題もあったりする
「逆の問題」の分かりやすい事例として「葛城市」という自治体がある
葛城の「葛」は下に「人」が入るが自治体の「葛城市」の下は「匕」である
詳しい話は葛城市のサイトを見てもらいたい
https://www.city.katsuragi.nara.jp/index.cfm/1,4579,2,html
かつてのパソコンでは下に「人」が入る「葛」を表現できず、略字としての下は「匕」が入る「葛」を使っていた
そこで葛城市が出来た時にパソコンの性能に合わせて正式名称を「匕」が入る「葛」を使うことにした
しかし普通に「人」が入る「葛」を表現できるようになった今でも「葛城市」の正式名称は「匕」が入る「葛」のままである
こうしてみると「正しい文字とはなにか?」というのは考えれば考えるほどとても難しい
よく界隈で「文字にイデアはあるか?」という話が度々出てくるのだが
個人的には文字に「真」はないのだと思う