専門家の専門性
ネット上で医療の専門家でもないのに病気について語ったり、法律の専門家のでもないのに法律について語ったり、軍事の専門家でもないのに軍事について語ったりする人をよく見かける
聞くところによれば、実際の診察でも医師の診断にネット記事を持ち出し意見する人もいるようだ
そうした意見を言うべきでないとは言わない
素人が専門の分野について語るなと言う話でもない
ただ最低限専門家や専門知識には敬意をうべきだということである
つまり「素人が思いつきで話すな」ということだ
これとは逆に専門家はその分野の専門家であって、日本社会についての専門家でもなければ人生についての専門家でもない
専門家は専門知識を語るべきであって、他人の人生や社会や政治のあり方
もっと具体的に他人の行動をああせいこうせい言うのはおかしいことだ
人間の行動の主体はあくまで本人であって、その行動の決定権もまた本人にある
専門家が個人の行動を細かく規定するべきではないのだ
シャーロック・ホームズでワトソン博士が判事に向かって「これは他殺です」と言うと、判事から「事実のみを証言してください」と言われる場面があった
ワトソンが「は?」と言うと判事は「医者の仕事は死因の特定で他殺か自殺かは警察が判断すること」と
つまり医師は医療の専門家で事件や犯罪の専門家ではないのである
ネットでも専門家が専門について明瞭で客観的な説明ができるのに、その専門家が専門外のことについて適当なことを言って炎上する事例が後を絶たない
そして専門家であるという肩書だけで、専門外のことであっても言っていることのすべてを信用してしまう人もいる
専門家の言うことには敬意を払いながらも決めるのは自分であるということ
専門家は専門以外ではタダの素人であるということ
このことは常に頭に入れておいたほうがいい