国家経済の基礎知識(インフレとデフレ)
何故か日本に限らず一部の先進国において、お金を出しても出してもインフレにならない不思議な出来事がおきている
日本においても借金が増え続けてるのにも関わらず、政府のインフレ目標2%にすら遠く及ばない
その現状について考える前に物価の基本について考えたい
モノの値段は買い手と売り手の合意によって決まる
買い手がいないのに一方的に値段が上がったり、売り手がいないのに一方的に値段が下がったりすることは統制されない限りない
この「買い手と売り手の合意」という価格決定の基本は、株であろうと債権であろうと外国為替であろうと、果ては築地市場からヤフオク、スーパーの惣菜コーナーの半額シールまで自由市場であればまったく同じ原理である
つまり物価が上がる(インフレになる)というのは、みんながお金を持って(額面上)買い物をするという状況である(買い手が多い状況)
買い手が売り手より多い。つまり需要が供給より大きいという状況においてインフレが進行する
よくハイパーインフレの説明でドイツの子どもが札束で積み木をしている写真がよく出てくるのだが、では、皆さんの周りで「万札の積み木」で遊ぶ子どもを見たことがあるのだろうか?
「需要が供給より大きいという状況」つまり世の中にあふれるほどのお金が出回る状況にならない限り「ハイパーインフレ」はおこりえないのである
さてインフレが起こる条件にはいくつかある
一つは天災や戦争によって生産や物流が止まる場合
ただこのインフレは財政悪化とは何の関係もない。どちらかというと国土強靭化などの国土政策の問題であり、財政を出して災害に強い国をつくろうという話である
次は途上国型インフレの場合
モノの値段は買い手と売り手の合意によって決まるといったが、買い手が自国民だけとは限らない
例えば中国人が小麦を買い占めれば現地の小麦価格が暴騰しインフレが進行。現地人が飢餓に陥るということはある
また外国によるその国の債権や通貨の投げ売りなど国際市場の力関係によって途上国型インフレは起こる
しかし今の日本は世界有数の債権国(金持ち国)であり、国際的には買い占める側(金持ち国)であって、買い占められる側(貧乏国)ではない
この状況が数十年単位では変わることはないだろう(第三次世界大戦でも起これば別だが)
最後はサラリーマンの平均給与が1億円くらいになる場合
多くの庶民の給与が上がっていけば必然として人々の購買力があがり消費需要が増大する
当然この状況では物価が上昇しインフレになる
これの分かりやすい過去の事例が高度経済成長時のインフレである
しかしインフレと同じペースでサラリーマンの平均給与が上がるならインフレ自体はどうということはないのである
かつて「もりそば」は30円であった。いま安くても500円くらい
「もりそば」が30円から500円に上がた今現在、困っている人がどれほどいるのだろう
「もりそば」は30円であった頃と今とでは、人々の平均給与が大幅に上がっているのである
ちなみに時代とともに「もりそば」が30円が500円に上がるインフレのことを「経済成長」と呼ぶ
つまり「インフレ目標2%」とは「成長目標2%」のことなのである