時事備忘録

最近物忘れが酷いので・・・

裁判所は「真実」を明らかにする場所ではない

まず裁判に対する基本的な誤解がある

裁判は「正しさを証明」する場所ではなく「被害を救済」する場所

つまり裁判に勝っても「正しさを証明」することはできない

 

なにか問題が発生した現場に判事も検事も弁護士も居合わせたわけではない

だから本当の真実なんて分かるはずがないのだ

 

とはいえ真実がわからないからと言ってそのまま放置しておくこともできない

特に「被害を救済」という観点から考えれば、50年も100年も真実を探求し続ける訳にはいかない

 

そこで法律をもとに過去の判例や証拠を積み上げ「とりえず」の結論を出す

これが裁判所の機能である

 

こうした裁判所の考え方から「推定無罪」などの原則が生まれた

「権力側である検察が犯罪を立証できないければ無罪である」という考え方は「真実」がどうであるかを問題にしていない

そして推定であっても無罪であるのだから、被告は法的にも社会的にも一切の責任を負う必要がない

 

そうしてみれば裁判は「真実」は置いておいて法によって社会的な決着を付ける行為ということができるだろう

つまり「判決=真実」ではないということだ

十河信二と新幹線

国鉄の官僚主義 - 時事備忘録

つづき

十河信二国鉄の近代化こそ鉄道を救う道であると考えていた

その目玉が「新幹線計画」であり「動力近代」とともに国鉄再生の柱と位置付けた

 

しかし、そのためには資金がいる

十河は赤字が確定している新規路線建設を拒否し続け、さらに運賃値上げを度々政府に要請した

当然、多くの国会議員たちから反発を買うこととなる

それでも十河は東大閥と化していた国鉄組織に風穴を開け、優秀な人材を大胆に抜擢し、さらに職員教育の為の鉄道学校などを設立していった

十河曰く「今の国鉄は腐っている。みんな本当の仕事をしていない」と

十河は国鉄改革を推し進めた

 

そのやり方は強引であったものの、徐々に賛同者をふやしていく

労働組合とも友好的とはいえないものの、組合代表者を経営に参画させるなど一定の成果を出していた

最終的には世論を味方につけ何とか新幹線建設着工にこぎつけたが、建設費が当初見積もりの倍になることが発覚し、責任を追及され、任期満了を待って国鉄総裁を退任することになったのだった

今考えれば、十河信二の存在は国鉄倒産を回避するターニングポイントであった
そして十河の退任以後、国鉄は崩壊に突き進んでいく

国鉄の官僚主義

国鉄の権限と政府 - 時事備忘録

つつき

 

国鉄は公社化したとはいえ内部は完全に官僚主義であった

多くの国鉄官僚は自分の仕事を滞りなく終わらせ、序列通りに出世することだけを望んだ

鉄道は斜陽産業でありいずれ自動車や飛行機にとって代わられる

国鉄改革など無駄なことに労力を注いだ挙句に、経歴に傷がつくのでは誰も改革などやりたがらなかったのだ

実際に政府は道路建設に莫大な税金を投入し、一方で鉄道は斜陽産業であり、国鉄に投資する無駄な税金などないという態度であった

こうした状況で国鉄官僚たちが自己保身に走るのは当然であっただろう

 

新幹線の父と呼ばれる十河信二が、国鉄総裁に就任した時も

「秩序を乱す厄介な爺さん」「弾丸列車建設などというバカげた妄想に取りつかれた老害」というふうであった

そして国鉄官僚たちは十河を快く思わない政治家たちと結託して十河排除に動いていく

 

国鉄の権限と政府

労働組合の左傾化と国鉄 - 時事備忘録

つづき

 

国鉄倒産の2つの大きな要因の一つである労働組合について話したが、今回はもう一つの要因である国鉄財務についてである

労働問題よりこちらのほうが、国鉄倒産に対してより直接的で、より深刻な問題であった

 

国鉄財務の問題は「独立採算制」の一言で片付くのだが、単純に「独立採算制」が悪いという話ではない

あたりまえだが民間企業は「独立採算」な訳だからそれ自体の問題ではないのだ
では何が問題なのか?

 

国鉄は政府、議会、大蔵省、運輸省、行政管理庁などなどさまざまな組織に監督権が存在した

実質、国鉄には自由な経営権というものがほぼ皆無であり、ただ「独立採算」だけを押し付けられた政府機関にすぎなかったのだ

大蔵省は独立採算を理由に一切の政府補填を拒否していたし、一方で政治家は選挙目当てに地元に新線を引くことを国鉄に強要した

さらにインフレによる人件費と資材の高騰に伸び続ける需要、戦時中の酷使と老朽化による事故頻発

これらを改善するための大規模投資が必要な時期がきていたのだが、運賃収入は頭打ちであり財務は悪化し続けた

 

なら運賃を値上げすればよいと思うだろうが、国鉄の運賃決定権は国会にあり国鉄にはなかったのだ

国会はインフレ抑制と国鉄の公共性の観点から運賃値上げを認めなかった

政治家が地元選挙民の反発がある運賃値上げなど認めるわけがないのである

 

国鉄は「公共性」を求められながら「独立採算」から政府補助は認められないという状況で赤字だけがどんどん膨らんでいった

労働組合の左傾化と国鉄

「日本国有鉄道」発足と終戦直後の状況 - 時事備忘録

つづき

 

戦後、ソ連共産主義の世界展開を進めた

当初、GHQは日本の民主化を進めるため、共産党を含む左派勢力の拡大を容認していた

しかし、ソ連の動きが顕在化してきたことに対する危機感から、徐々に取り締まる方向に転換していく

国鉄労働組合にも共産党が浸透していくが、GHQはこれも弾圧していくことになる

結果として国労から共産党勢力は排除されていく

しかし今度は社会党の影響下にある総評が国労内で勢力を伸ばしていった

この時点でGHQ占領政策は、民主化軍国主義の排除から反共の砦としての日本に転換していた

つまり国労左傾化労働争議の頻発は、GHQ占領政策とは相容れないものになっていったのだ

そこでGHQは労働運動の弾圧に動くことになり、労働組合の多くは反米色を強めていった

以後、国労を含めた日本の労働運動は反米という極めて政治色の強い運動として展開していくことになる

ワクチンについて

ワクチンの問題はワクチンは必ず一定数の副反応があるということである

副反応の被害より効果のほうが遥かに大きいのであれば、ワクチン接種に意味がある

 

しかしメディアはこうした客観的な思考ができない層を狙い撃って不安を煽る

これに対する対処法はデータを開示して「これだけのメリットとデメリットがあります」とはっきり説明して、あとは個々の判断に任せるということになるのだが

しかし政府やワクチン推進派には「大衆はバカだ」と思ってるフシがあって、データ開示を嫌がる傾向にあり、これが反ワクチン派を助長させているのだと思う

リスクを承知で取りにいく人間と0リスクの人間がいることは、普通のことであり個々の考え方であって、国が強制することではない

リクスをデータでしっかり説明できれば、多くの人はまともな判断ができるはずだ

言うほど大衆はバカではない

 

しかしワクチン問題に限らず、リスクを隠したがる人々とリスクを大げさに誇張したがる人々の存在が、事態をより面倒なものにしている

これは原発問題にも似ている

原発安全神話と科学技術不要論という極論の中間・・・多くの人はリスクを理解した上で可能な限り安全対策に万全を期して運用してほしいと思っているのだ

いずれにせよ、0リスク信仰とリスク隠蔽体質いうものは、社会発展を著しく阻害する害悪そのものなんだと思う

原発賛成派ではない理由

原発というほどではないが、自分は基本的に原発賛成派ではない

その理由について説明したい

原発が危険だとか放射能が怖いだとかそういう話ではない

 

福島で事故が起きた時、東電役員が一列に並び頭を下げた

しかし、あの役員の中で技術畑の人間は一人もいなかった

みな、文系でほぼ東大という電力会社とは何かを考えさせられる役員の構成だ

これは一体どういうことだろうと

 

当時、東京電力の会長であった勝俣氏は「コストカッター」との異名をもっていた

そして会長にまで上り詰めた彼がカットしたコストの代償はいかほどのものだったのだろう

あの事故から多くの技術的問題は解決し安全対策は大幅に強化されたのだが、組織の方はどうだろうか

聞くところによれば、原子力行政における国の権限が大幅に強化された結果として、官僚が権力を傘に技術者や研究者に圧力を掛けているという

 

あの原発事故は、津波地震が原因でもなければ技術的な問題でもなく「組織腐敗」が原因だったのではないか?

「人間が間違わなければ機械は悪さはしない」という言葉を聞いた

技術は進歩する。人間は改善されたか?